■ワイン物語(ボルドー)
2006年 04月 09日ボルドーでは葡萄の芽のつぼみも膨らみはじめ、春がやってきました。
と同時にプリムールの試飲会が始まりました。
例年3月末から4月初めに行われ、この試飲会はワイン流通業者、生産者や批評家など
プロフェッショナルに限定されている。
プリムールとは?
ワインの先物買いのこと。
昨年醸造されたワインを翌春まだ瓶詰め前の樽熟成中の段階で売り買いします。
これがプリムールです。言い換えれば先行予約販売。価格はこの週の試飲が終わった後に設定されます。価格設定には評論家等の評価が大きくかかわってきます。
この時点での試飲は熟成中のワインの対して、品質向上の有無を確認しながらするので大変難しいものです。この試飲されるワインが瓶詰めされて市場に出るまでにはまだ2年の期間を有します。
2年後の市場に出るときに酒質が向上している場合もあれば下降している場合もありますので未来の姿を想像しながらきき酒します。
ではこの時点で売買される利点は何でしょうか?
生産者にとっては商品が市場に出され販売されるまで2年かかります。この期間何もしなければ、売り上げがありません。そうすると、たとえば翌年ために醸造のために樽を購入したり、農業器具を買い換えたりする資金の調達が容易でないことになります。もしこの時点で売り上げがあれば、資金調達が楽になります。
この目的のために始まったのがプリムールです。
では、購入者(流通業者)にとっての利益は?
もしこの時点で将来のワインの質を見越して、瓶詰め前に予約購入しておけば、まずは商品を確保することができます。
それから2年後の出荷時に評価が上がっていれば市場価格も同様に上がります。そうすれば最初の安い価格のときに商品を押さえていたので、もちろん得をします。ですが2年後にワインの評価が下がってしまっていて、価格も最初のリリースされた値段よりも市場価格が下がってしまうという危険もあります。
ということでとても博打的要素をプリムールは一面に持っています。
今週はボルドーワイン業界にとって重要なことが行われました。
文と写真by YASU