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2007年 07月 25日Etat du du vignoble et prevision de recolte au 01/07/2007
(Viniflhor)
VINIFLOR(旧ONIVINS:全国ワイン同業者連合会)が、7月1日時点でのぶどう畑
の状況を発表した。
(注:調査対象の相違により、各委員会とVINIFLORの発表する開花時期などに
差がでることもありますのでご了解ください)
(全般)
厳しい冬となった昨シーズンとは逆に、今シーズンの冬(06/07年にかけての冬)
は、暖冬となった。この穏やかな天候に加え、4月がとても暑かったため、ぶ
どうは例年より早く、4月の10〜15日には生長を始めた。
続く5、6月は雨が多く、ぶどうの早い生長を促した。開花は難しく、不揃いだ
ったが、5月の末にはすべての畑で開花が終了していた。6月初めには、時に雹
を伴う激しい雷雨に見舞われたところがあり、場所によっては大きな被害を受
けた。この雨と雷雨のため、結実の広がりが妨げられた。すべての畑で、ベト
病が急激に広がり、花振いもおこった。
ベト病やその他のカビが広がり、畑の衛生状態は懸念される状況となった。農
薬を散布しても、雨が続いて洗い流されてしまった。
風や雹などの天候上の問題と、ベト病の広がりが生産量に影響を及ぼし、例年
よりも220万hlほど減少すると見られる。
2007年の収穫量は、5,070万hl、うちVQPRD(AOCとAOVDQS)が2,330万hl、ヴァン
・ド・ペイとヴァン・ド・ターブルが1,870万hl、コニャック・アルマニャッ
ク向けが860万hlと予想される。
(ロワール)
暖冬の後、発芽はとても早く例年より3〜4週間早く始まった。その後、5、6月
に雨が続き、生長の早さは、1〜2週間程度となった。開花は不揃いで難しかっ
た。雨のために花振いや結実不良が起こった。
4月半ばから、ベト病が広がりはじめ、現在も続いている。さらにボトリティ
ス菌も発生している。ナント地区ではハマキガの被害も受けた。農薬散布のプ
ログラムを強化し、一部を除き畑の衛生状態は現在は、コントロールされてい
る。
2007年の予想収穫量は昨年をやや下回る350万hl程度と予想され、過去数十年
の間で最も少ない収穫量の一つとなる見込みである。
(ブルゴーニュ・アルザス・シャンパーニュ・ジュラ)
06/07年の冬は、気温が例年より高く、霜が見られる日も少なかった。冬の終
わりの降雨量は例年並であった。夏を思わせる暑さの4月のために、ぶどうの
生長は早く始まった。5月は気温、降雨量ともに4月とは対象的であった。
シャンパーニュ
発芽は4月8日〜11日頃で、昨年よりは早いが、過去15年の平均並である。4月
末の時点で、ぶどうの生長は昨年より3週間以上早かった。
開花は5月23日頃に始まり、2週間程度で広がった。
一部に花振いや結実不良が見られる。5月末からベト病が広がったが、コント
ロールできている。4月末から6月初めまで何回か雹に見舞われ、バール・セカ
ネ(シャンパーニュ地方の南東部)など、場所によっては大きな被害を受けた。
ブルゴーニュ
発芽は4月2日〜10日で、昨年より2週間ほど早かった。開花もとても早く、多
くは好天の下で広がったが、一部の晩熟の区画では、気温が下がったときに
開花が終了することとなった。開花の中間期は5月19〜27日で、(早熟であった)
2003年よりも9日ほど早い。6月はベト病の対策を行わなければならなかった。
ボトリティス菌の発生も一部に見られる。5月半ば、6月半ばと下旬に雹に見舞
われ、場所により大きな被害を受けた。
アルザス
発芽は早く4月9日〜12日頃であった。開花もとても早く、多くは5月26日頃
に好天の下で広がったが、一部の晩熟の区画では、気温が下がったときに開花
が終了することとなった。開花は例年より3週間ほど早く、(早熟であった)
2003年よりも1週間早い。6月後半の2週間にベト病が広がったが、コントロー
ルできている。6月20日に激しい雹に見舞われ、コルマールの北西の畑が大き
な被害を受けた。
(ローヌ・アルプ (ローヌ、ボージョレーなど))
06/07年の冬は、12月末と3月末が寒かった以外は全体的に暖かかった。4月は
とても暑く乾燥しており、5月は温暖で雨が多かった。このため、ぶどうの生
長は早く進んだ。開花は5月末に広がった。雨が続いたためぶどうの生長が進
んだが、6月末に気温が少し下がったため、生長の速度は緩まった。雹により
ローヌ北部(コンドリウ、コート・ロティ)、コトー・デュ・リヨネ、ボージョ
レーのいくつかのコミューンが被害を受けた。ベト病の広がりが見られ、また
ボージョレーなどではボトリティス菌も見られ、衛生状態が懸念されている。
ローヌ・アルプの収穫量は、昨年をわずかに下回る280万〜290万hlと予想され
る。
(アキテーヌ・シャラント(ボルドー、コニャックなど))
冬は暖かく、12、1月は雨が降らなかったが、2、3月は雨が多かった。4月はと
ても暑く、乾燥していて、5月は暑く、雨が降った。特に5月末には激しい雷雨
に見舞われた。
アキテーヌ
発芽は、(早熟であった)2003年より3日早かった。4月の好天でぶどうの生長は
早く進み、花穂の着生は例年並か、多いほどであった。5月初めから雨が降り
気温が下がったため、ぶどうの生長は遅れた。開花は5月中旬に始まり、5月末
まで、不揃いに広がった。ベト病が広がり、農薬を散布しても雨に流されてし
まった。またボトリティス菌も見られている。
予想収穫量は760万hl程度(06年は770万hl)と見られる。
(ラングドック・ルーシヨン)
冬は暖かく乾燥していて、発芽は早く始まった。春の初めが暑く乾燥していた
ために、ぶどうの生長は促進された。5月初めから気温が下がり、早い生長速
度が弱まった。また雷雨や雨が続き、ベト病が広がった。農薬散布のためにコ
ストが上昇している。西部では特に花穂の着生が不揃いになった。開花時に暑
さと涼しさが交互に訪れたため、開花の時期が長引き花振いなども起こった。
予想収穫量は1,500〜1,600万hl(06年は1,600万hl)と見られる。
(プロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール)
冬は暖かく乾燥していた。4月は1950年以来の暑さとなった。開花は早い場所
で3月下旬から始まった。花穂の着生は例年並か、多いほどであった。
5月は暖かい時期と涼しい時期が交互に訪れた。開花は5月15日から、好条件の
下で始まった。6月は暑すぎるわけではないが暖かく、上旬に雷雨に見舞われ
ヴァール県やヴォークルーズ県の一部が被害を受け、激しい風も吹いた。なお
昼夜の気温差が大きく、果皮が厚くなっている。2007年は、例年に比べて10日
ほど生長が早い。暖かい気温と雨が続いたためにベト病が広がった。予想収穫
量は430万〜440万hl(06年は440万hl)と見られる。
(Viniflhor-Infos, no.145)
【農水省:2007年のワインの収穫予想】
Un potentiel de recolte 2007
農水省の中央統計局(SCEES)が発表した7月1日付けの2007年のぶどうの予想収
穫量は5,120万hl。例年の2%減であり、06年より3%減となり、2000年代では最
も低いレベルの一つと予想される。
内訳は、VQPRD(AOC+VDQS)が2,370万hl、ヴァン・ド・ペイが1,450万hl、コニ
ャック向け810万hl、その他490万hl。AOCは例年を1%上回り、ヴァン・ド・ペ
イも例年並だが、その他のワイン(ヴァン・ド・ターブルなど)とコニャックが
例年に対しそれぞれ、-15%、-6%と減少する見込み。
ロワールや南西地方からラングドック・ルーシヨンにいたるまで、開花時に天
候に恵まれず、雨が降ったり涼しかったために花振いなどが起きたこと、ベト
病などが広がったこと、雷雨と雹が局地的に大きな被害をもたらしたこと、
などが影響している。
(Agreste Conjocture, no.1)
【5月開花、収穫は8月の見込み(ブルゴーニュワイン事務局)】
Des fleurs dans les vignes des debut mai! (B.I.V.B.)
ブルゴーニュワイン事務局 (B.I.V.B.)の技術センターの観察によると、開花
は5月中旬から見られた。5月21日から26日まで夏のような暑さが続いたため、
開花は、すべての畑に一気に広がった。ぶどうの成熟は、開花の中間期から90
日〜100日なので、今年は、2003年に続いて再び8月の収穫となると思われる。
(ブルゴーニュワイン事務局広報紙 2007年6月号)
【フランス情報】
【「クリュ・ブルジョワ」の名称の使用を禁止】
Interdiction de la mentino Crus Bourgeois
6月29日、DGCCRF(競争・消費・不正行為抑止総局)は、ジロンドワイン生産者
連盟に対し文書で、新しい格付けが制定されるまで、ボトルに「クリュ・ブル
ジョワ」と記載することを禁止することを通達した。きちんとした格付けがな
い中で、この単語を使用することはできない、としている。
(以上C.I.V.B.(ボルドーワイン委員会)より)
この決定は関係者の間では「筋が通っている」と受け止められており、新たな
格付けの制定を急ぐきっかけともなる。2003年のクリュ・ブルジョワの格付け
シャトーで構成されるクリュ・ブルジョワ連盟のガルディニエ会長は、「将来
格付けは必要」と明言する。なお、DGCCRFの文書は、どのヴィンテージから適
用させるかには言及していない。ガルディニエ氏は、「常識的に考えればヴィ
ンテージ2007年からであろう」と、述べた。2006年以前のものはすでにラベル
の印刷も終わっており、生産者と仲買人の間で契約も終了しているので、「ク
リュ・ブルジョワ」が記載できないことになると、契約破棄などの問題も出て
くるであろう、としている。
(以上U.D.S.F.(フランスソムリエ連盟)web)
(背景)
メドックのクリュ・ブルジョワは1932年に初めて444シャトーが認定された。
しかし第二次世界大戦と、1956年の大霜で、その数は94に激減していた。
2003年に見直し作業が行われ、247のシャトーが認定された。ボルドー商工会
議所がジロンド農業会議所、ボルドー・グラン・ヴァン連盟、INAOの地域委員
会とともに格付け委員会を組織した。
この2003年の選定の際の審判団の中に、クリュ・ブルジョワに昇格したシャ
トーの所有者が数名含まれていたが、審判団の中に、利害関係を持つ公正な判
断ができる立場でない人間が含まれていたことで、審判団自体の公正性に疑問
が出ていた。このためボルドーの行政控訴院(第二審高等裁判所)は今年2月
27日、2003年に決定されたクリュ・ブルジョワとそれを承認した省令を無効と
する判断を下していた。
(2003年の改訂時の情報は、フランス食の広場 35号参照)
(背景解説:AP,2/27;Sud Ouest,2/28;Decanter,2/28;vitispere,2/28;La
journee vinicole,3/1)
【カステル社がナントのネゴシアンを買収】
Le bordelais Castel s'impose dans la filiere vinicole nantaise
ボルドーのカステル社が、ロワールのナント地区のワイン生産者、マルセル・
ソートジョー(Marcel Sautejeau)を買収する。マルセル・ソートジョーは
70,000hlの醸造設備に加え、ナントでは他には見られない、5,000m2の空調
設備付きの熟成用の倉庫を持つ。
カステル社は先月、急成長しているバッグ・イン・ボックス市場に対応するた
め、バッグ・イン・ボックスではフランス第一位のフリードリヒ社を買収した
ばかり。同社もやはりナント地区にある。カステル社はワイン専門店のニコラ
を所有し、さらにヴュー・パープやバロン・ド・レスタックなどの明確なブラ
ンド戦略も取っている。ワイン部門の売上は8億8,400万ユーロ(1,460億円)。
この2軒の買収により、約1億2千万ユーロ(198億円)の売上が加わることなる。
(les Echos, 7/9)
【各国元首のシェフクラブ】
A la table des chefs de chefs
エリゼ宮やホワイトハウス、王室など各国の元首や大統領の食卓をあずかるシ
ェフたちの集まりである「元首のシェフクラブ」の30周年記念ディナーが、モ
ナコで、アルベールII世の主催で開かれた。このシェフクラブは1977年に発足
したもので、年一回、場所を変えて集まっている。この日は26名が集まった
(うちフランス人は4名)。国も言葉も違うが仕事への情熱でお互いを理解しあ
っている。
各国の元首や大統領の好みは:
モナコ王室に20年近く仕えるクリスチャン・ガルシア氏。
「故レーニエ大公は肉、特に猟肉がお好きだった。王子たちは魚や地中海の味
覚がお好き。現在のアルベールII世大公はグルメで環境問題に敏感。100%ビオ
のものやフェアトレードのものを召し上がる。また、地中海のマグロなど保護
区域のものは食べないように気をつけられている。」
フランスのエリゼ宮の食卓をあずかって34年のベルナール・ヴォーション氏。
「サルコジ大統領には、2品のアントレ、メイン、デザートをお出しする。ま
だエリゼ宮の主になられてから日が浅いのでお好みはよくわからないが、家族
で食卓を囲むことがお好き。ソースを控えた軽めのものや、海の幸などをよく
お出ししている。チョコレートには目がない」
ルクセンブルグ公国の大公家に仕えるジャック・ランブラン氏。
「ルクセンブルグでは、マダムが季節に合わせて料理をお選びになる。大公は
すべてのものを、少しずつ召し上がるのがお好き」
シェフたちにとり一番の褒美は、お皿が空になって戻ってくることだという。
(le journal dimanche , 7/15)
「フランス食品振興会発行メールマガジンhttp://www.franceshoku.com/」から転載